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パワハラで労災申請をしたい時に絶対に知っておきたい3つの認定基準

上司からパワハラを受け続け、心も身体もつらく仕事に支障をきたしていませんか?仕事を正常にこなせない状態になったのだから労災の申請ができるんじゃないのと思われるのも当然です。

私も上司のパワハラをきっかけに会社を辞めました。理由は人格否定の暴言や暴力です。毎日終電続きで心も体も弱り切っていました。自分が自分でない様な自信を無くした自分がいました。このままではいけない。1日でも早く気持ちを切り替え、生活を立て直して社会復帰をしなくてはいけないと考えていました。

ただ、あの上司を許すことはできません。上司のパワハラは適切な指導どころか限度を超えた暴力です。私の為を思った指導ではなく上司の優越感を満たす道具にされたのです。本音を言えば労災を受け、損害賠償も勝ち取りたいと当時の私は考えていました。

労災が認められる基準について調べてみました。この記事を読めば、労災を勝ち取るための3つ労災認定基準がわかります。


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パワハラで労災認定されるハードルは高い?

建設現場での事故といったわかりやすい労災事故とは異なり、パワハラによる精神疾患の労災認定は非常にハードルが高いと言われています。なぜなら、業務と精神疾患が発症したことについて関係性を証明していく為には、ストレスのもとになっている相手方の行為、本人の受け止め方の違い、周囲の環境などいくつかの要素を総合的に判断し、それを裏付ける証拠が必要になるからです。

平成29年度の申請件数1,732件のうち、支給決定件数は506件になります。(厚生労働省:精神障害に関する事案の労災補償状況より)29.2%という数字をあなたはどうみるでしょうか。いくつもの要因が絡み合うのでパワハラによる労災は非常に判断しにくいという特徴があります。

具体的には後述しますが、労災認定の問題点は次の2点に集約されます。ひとつはパワハラの事実を裏付ける証拠を用意できるか、2つ目は主観的(自分がどう感じたか)ではなく客観的に強い心理的負荷をかけられたと判断されることです。

パワハラが労災認定されるには3つのハードルがある

パワハラにより労災と認められるかどうかについては「ストレス‐脆弱性」理論(環境からくるストレスとそれを受ける労働者の反応で精神的に破たんが生じるかどうかが決まる考え方)によって、一定の基準を設けその基準に当てはまるのであれば、労災が適用される、あてはまらなければ労災は適用されないという判断になります。

ですから、認定される考え方・要件は、判断がつきやすいように事細かく認定基準が設けられています。その要件は大きく分けて3つです。

まずはこのサイトで労災認定ができそうかどうか判断してみて下さい。労災認定基準とは何かを知って、用意周到に証拠を積み上げていけば全く不可能ではありませんので確認しておきましょう。

【労災認定基準その1】認定基準の対象となる精神障害を発病していること

精神疾患による労災が認定されるには大きく分けて3つの要件がすべてあてはまる必要があります。この中でも特に問題となるのが2番目の基準で、心理的負荷が「強」程度であると判断されることです。この点を意識して読み進めてみて下さい。

まず認定基準の対象となる精神障害を発病しているかどうかが一つ目のポイントになります。以下の表をご覧ください。

主にF3の「気分[感情]障害」やF4の「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」(ICD-10第Ⅴ章「精神および行動の障害」分類厚生労働省「精神障害の労災認定」より抜粋)に該当する方が多いかと思います。いわゆるうつ病とか、急性ストレス障害、適応障害などの病気です。

そもそもこの表にある精神疾患に該当する病気でないと対象になりません。発病したのが仕事によるパワハラが原因であること、つまりそのような行為があったという事実があることがわかる資料が必要となります。

【労災認定基準その2】認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6ヶ月の間に業務による強い心理的負荷認められること

労災認定される一番のポイントとなるのは、2の認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6ヶ月の間に業務による「強い心理的負荷」が認められるかどうかにあります。
「強い心理的負荷」と書いてあるという事は、逆に言うと「弱い負荷」や「中くらいの負荷」ではないということです。パワハラの事情はケースバイケースなので、この「強い」心理的負荷に該当すると判断される事が一番のポイントです。

では、何が「強い心理的負荷」にあたるのかと言うと、大きく分けて2つの判断基準があります。それは、「特別な出来事」に該当する出来事がある場合とない場合です。順番に説明します。

特別な出来事があると認められる場合

特別な出来事の類型にはさらに2つあり、ひとつは「心理的負荷が極度のもの」です。例えば生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久的に労働不能となる行為障害を残す業務上の病気やケガを指します。ふたつ目は、「極度の長時間労働」です。発病直前の1か月におおむね160時間を超える様な、又はこれに満たない期間にこれと同程度(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を指します。

特別な出来事以外の場合

・具体的な出来事が列記されている別表1に沿って、どの項目に当てはまるのか、あるいはあてはまる度合いが高いかによって判断されます。心理的負荷の高い方から「Ⅲ・Ⅱ・Ⅰ」の順番で表記されています。
・具体的な出来事の事例に、そのパワハラをされた事実があればその強度で評価し、列挙された事例と事実が合致しない場合は「心理的評価の総合評価の視点」欄にある事項を考慮し個々の事案ごとに評価します。
・出来事が複数ある場合は、出来事の関連性を考慮し全体をひとつの出来事とみなして評価します。関連しない出来事が複数生じた場合は、出来事の数や内容等を考慮し全体の評価をします。

この具体例は事細かく規定されており、また心理的負荷の強度は、パワハラ被害者がどのように感じたのかという視点ではなく、一般的に同じような職種や職責、年齢、経験の人間が受けた場合にどう受け止められるかという観点から評価されますので、例え自分が具体的な出来事の「強」にあたると主張しても第3者がみて「中」だと判断されれば、それは「中」程度の事例とみなされます。

【労災認定基準その3】業務以外の心理的負担や個体側要因により発病したとは認められないこと

最後の3「業務以外の心理的負担や個体側要因により発病したとは認められないこと」については別表2の「業務以外の心理的負荷評価表」に当てはめて勘案されます。出来事の類型としては、1.自分の出来事 2.自分以外の家族・親族の出来事 3.金銭関係 4.事件・事故・災害の体験 5.住環境の変化 6.他人との人間関係などの項目があり、心理的負荷の強度が高い項目が複数該当するような場合は、そのことが原因ではないか慎重に判断されます。

例えば、「離婚又は夫婦が別居した」という項目は、心理的負荷が「強」を示すⅢに分類されますので、この離婚や別居が精神障害を発病する原因となったもので、パワハラは単にきっかけに過ぎない...と判断される場合もあります。

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労災認定を「勝ち取った」先にあるものは?

認定基準を簡単にまとめると、精神障害による労災認定については3つの基準をクリアする必要があります。それは、労災基準に当てはまる精神疾患であること、主観的ではなく客観的な基準にあてはめて心理的負荷が「強」と判断される必要があること、精神疾患を患った原因があなたの受けたパワハラ以外の事情はないかを確認されること。これが今の日本の制度です。

半年以上かけて審査され認定基準をクリアし労災認定されれば、パワハラの事実が認められパワハラ上司を見返したことになるし会社にも非を認めさせたことになります。

あー、すっきりした。これで晴れて普通の生活に戻れる...

 

本当でしょうか・・・?

会社や上司がパワハラの事実を認め、上司は心から反省し、あなたに謝罪するでしょうか。損害賠償はいくらとれるのでしょうか。

労災認定率は約3割。あなたはこの数字をどうみるでしょうか。心の傷を負い失ったものの代償は大きいです。とてつもなく大きい。だからこそ簡単には引き下がれないと思うのと同時にこれ以上深みにはまりたくないと感じる自分もいました。

怖かったんです。労災に認定されないという結果になれば訴訟をしても無駄に終わる可能性もある。そうなればもう立ち直れないかもしれない。

一方で、労災に認定されれば得られる補償ももちろんありますが、障害者として生きていかざるを得ない負のレッテルを自ら貼ってしまう事にならないだろうか。労災認定は「勝ち取る」モノなのでしょうか。労災申請するかどうかとても悩みました。

労災が認定されるメリット・デメリット

あなたのたった一度の人生を無駄にしない為にも今一度確認してみましょう。簡単ですが、以下にまとめてみました。あなたは労災で得られるメリットとデメリットのどちらが大きいと思われますか。

労災を受けるメリット

・雇用について
療養のため休職する期間及びその後の30日間は解雇されない。
・所得保障
休業した日数につき賃金が未払いであれば休業補償給付や社会復帰促進事業から休業特別支給金がある。
・医療保障
医療費の一部負担金(3割負担)がなくなる
・障害
障害が残るようであれば、障害補償給付を受給できる。

労災が認定されるデメリット

・会社との関係悪化は決定的となる。
・自ら障害者である烙印を押してしまう。

私の場合は、得られる補償と失うものを天秤にかけこれからの生活を考えてみました。労災申請のハードルも高いと感じました。(労災認定申請の注意点はこちらの記事をご覧ください。)

ボイスレコーダーなどで証拠はとっているもののはたして、パワハラの事実を証明するに足りる証拠となっているのかどうか、労災認定されるかわからない不安を申請から半年以上も抱き続け、ついには労災認定されなかった場合の期待度の落差から精神的に耐えられるか。

私が出した結論は「逃げる」という選択肢。

「逃げる」のか「傷口に塩を塗る」のか

パワハラで苦しむ私には「逃げる」か「障害者」になるか二つの選択肢しかないと感じました。これが今の日本の体制であり、あなたもこの日本に住んでいる以上は、日本の法律の中で生きていかざるをえません。

私の場合は最終的に「逃げる」選択をしたものの、その選択に時間がかかり自分を限界近くまで追い込んでしまいました。一日でも早く心の健康を取り戻し、何事もなかったように普通の社会生活を送りたいと思う一方で、どうしても心が納得していない自分がいたことも確かです。

私も上司のパワハラで適応障害の診断を受けるほど人権を踏みにじられた経験があります。会社を辞めるまでは見返してやるという想いでひたすら証拠になりそうなメモや記録をとり訴訟に備えていました。労災認定をとり訴訟をして損害賠償を勝ち取りたい気持ちは痛いほど分かります。

ただ、あなたが得られるものは、労災で得られる医療費タダ、数年分の休業補償、訴訟をすれば高額な弁護士費用を差し引かなくてはなりません。それと引き換えにいつ再発するかもわからない障害を抱え、これからの人生を歩むことになるかもしれないのです。「勝ち取るもの」と「失うモノ」の差はあまりにも大きいと思いませんか?

いや、俺は逃げない。私は障害を克服したい、絶対に労災認定をして上司や会社に非を認めさせてやるという想いかかもしれません。その気持ちを無視するつもりも否定するつもりもありません。労災認定に関する注意点をまとめましたのでそちらもご覧ください。パワハラで悩んでいる人の心と対処法について支援したいというのがこのサイトを立ち上げた目的ですから。

ボイスレコーダーで確実な証拠作りから

もしあなたが労災申請をすると心に決めたなら、重要なことは、パワハラの事実を裏付ける証拠を用意できるか、客観的に強い心理的負荷をかけられたと判断されるかの二点にあります。そのためには何はともあれ証拠です。第三者からみても明らかにパワハラがあったと確認できるような証拠です。

パワハラが起こる状況からして、証拠の写真や音声データを取ることはなかなか難しいです。それも「適切な範囲を超えた指導」といえるためには、一度や二度ではなくパワハラ行為が日常的に行われていることを証明することができれば労災認定もされやすいと思われます。

労災認定申請をするしないに関わらず、上司から不当な扱いを受けているのであればまず証拠作りから始めなければなりません。その証拠をもってさえいれば、それを使うも使わないこともあなた次第です。確固たる証拠があればあなたが主導権を握ることができます。

まずは証拠づくりから始めましょう。

【ペン型ボイスレコーダーを購入】使い方と性能をレビュー

まとめ

パワハラによる精神障害の労災認定って、本当に「勝ち取る」ものなのでしょうか。労災の認定基準や国の制度を調べれば調べるほどますます労災認定のハードルが高くなった気がしてきました。平成29年度の労災認定率は29.2%という数字でした。

労災認定が受けられない、退職してしまってこの先どうしたらいいかわからないと自分が進むべき道に迷ってしまうかもしれません。もちろん、人生終わったわけではありませんからその後の人生設計や収入の確保についても選択肢は複数考えておく必要があります。

管理人の場合は、労災申請するか悩みつつも転職活動を同時に行いました。転職活動の当初は、初めての転職という事もあり分からないことばかりで右往左往するばかりでした。面接をしてもパワハラされたことをどう話せばいいか悩んで失敗ばかりでした。

そんなわたしを救ってくれた体験談「【残業とパワハラで会社を辞めたい】25歳の転職で不安を解消した体験記」を、この記事をここまで読んで頂いたあなたにお伝えしたいと思います。

一方、労災認定申請をすると決めたからまずは確実な証拠作りが必要です。ボイスレコーダーを胸に忍ばせあなたが主導権を握れるよう準備を始めましょう。

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