- 投稿日
- 2018年7月24日
- 更新日
【職場のパワハラ上司を訴えたい!】パワハラに時効は何年あるの?
40代男性です。私は、当時の上司から様々なパワハラを受けていました。とにかく話が長い上司でした。一度説教が始まると短くても1時間、3時間くらいはザラです。半日近く説教されたこともありました。何を説教されるのかというと、作成した文章のフォントやレイアウトのこと、コミュニケーション能力の低さ、あげあし取りとも受け取れる些細な事もありました。
最初の頃は、わざわざこんな事まで指摘してくれるなんて、自分の事を真剣に心配してくれているのだと思い反省していました。改善するために努力していましたが、上司の説教の内容がだんだんエスカレートし、ついには私の性格を治せとか、ミスを指摘すると土下座までさせて謝らせたりするようになりました。
自分を否定する言葉を浴びせてきたり、長時間の説教、作成した書類をぐしゃぐしゃにして投げつける、土下座をさせるという行為はパワハラそのもので限度を超えていると感じましたが、言い返すと言い訳をするなとか、さらに説教の時間がかかるため、何も言えなくなってしまうようになりました。
すると、いつの日かその上司のことを考えるだけで、顔の半分がしびれるようになったり、息苦しくなったり、ものすごい手汗をかくようになり、とても仕事ができる状態ではなくなってきたのです。
診断書をとって会社を休職することも考えましたが、30名程度の小さな家族経営の毛が生えたような職場でしたから、休職しても職場復帰はあまり考えられませんでした。なので退職も見据えて慰謝料を請求することも考えていました。そこで浮かんだのは、パワハラ訴訟の慰謝料っていつまでに請求すればいいのだとうかという素朴な疑問でした。
【パワハラで慰謝料請求したい】不法行為は3年、安全配慮義務は10年の時効
調べてみると、パワハラで訴えるといっても様々なパワハラ行為が該当する罪がありますので、整理してみました。具体的には、傷害罪10年、暴行罪3年、脅迫罪3年、名誉毀損罪3年、侮辱罪1年等(公訴時効)があてはまります。もちろん、民事上の責任を追及することもできます。いわゆる精神的な損害を受けた場合の慰謝料です。不法行為責任であれば3年、会社の安全配慮義務を問うのであれば10年が時効になります。
民事上の不法行為責任を追及するのであれば、不法行為の成立要件を満たす必要が出てきます。不法行為は民法709条です。
民法第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
つまり、パワハラが不法行為であることを証明するするためには以下の要件を満たしているかを証拠をもとに見極めていく作業をしていくことになります。
・故意または過失のある行為であること、
・他人の権利または法律上保護される利益を侵害したこと、
・損害が発生していること、
・行為と損害との間に因果関係があること
しかも立証責任は原告側にあります。ですから証拠集めが大事になります。
うつ病や適応障害の治療期間で休職した場合、時効の起算点はいつから?
パワハラ行為があれば即慰謝料が認められるかというと話は別です。業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与えられた事実があり、それが個人の人格に立ち入るようなケースであっても、判断は個々の事情で判断されるようですから注意が必要ですし気軽に訴訟というわけにはいきません。逆に訴えられる場合も想定されます。ここは弁護士の範疇となってきますので、具体的に訴訟を考えられている場合は、直接弁護士相談をお勧めします。
労災認定の場合、申請から結果が出るまで半年以上はかかるようですし、気軽に進めたいというのであれば労働審判制度の利用が気軽にできるかもしれません。労働審判制度は裁判官と労働関係の専門家が原則として3回の期日で解決策を提案するものです。この審判に不服がある場合は、最終手段の訴訟手続きに移行することになります。
なので、まずは労働審判を申し立てみて、その結果にどうしても納得いかない。自分の思う結果とかけ離れている場合には訴訟を検討するのもよいかもしれません。その場合は、お話したようにすべての準備をしておく必要があります。
ただし、注意しておかなければいけないのは、時効の起算点についてです。先にご案内したように不法行為の時効は3年、会社の債務不履行責任を問う安全配慮義務違反でも10年です。10年と聞くと長いようですがそれだけ証拠の保全や記録もしっかり取っておく必要があります。
パワハラでうつになってしまったというような場合は、具体的にいつが「損害が発生した日」なのかが非常に不明確ですし、パワハラとうつになった因果関係などもわかりにくいのが特徴ですから、何より証拠の有無がカギを握ります。3年や10年といった時効に関わらず、行動を起こすなら早めにすることが重要です。
【心療内科に通うのも苦痛】パワハラ訴訟をするために必要な証拠って何!?
今まで心療内科にかかったことはありませんでしたが、このままでは心が壊れてしまうと思い、休職をするため医師に診断書を書いてもらいました。医師からは適応障害と言われました。本当に悔しい、屈辱的な言葉や思いをさせられたのでパワハラで訴えることも検討しました。
何より重要となるのが、証拠集めです。労災を申請するにしても、弁護士を使って訴えるにしても何をするにしてもまずは証拠が必要だと思いました。上司から説教されるかもしれないとわかった時点でスマホのボイスレコーダーを使って録音するようにしていました。また、上司の言動の記録を取るようにしました。一冊ノートを用意し、時系列で指示されたことやパワハラ行為の事実を書きとめました。
同僚は見て見ぬふりです。火の粉が降りかからないように自分とはかかわらないようにしているのが見て取れました。同僚の証言を取るには相当難しいなと判断しました。
【パワハラで退職したら時効になるの?】訴訟のために人生の大切な時間を使いたくない人は
パワハラの事で色々と悩み、妻や親に相談し、退職や訴訟に向けていろいろ考えて準備してきましたが、私の場合は最終的には訴訟をしませんでした。弁護士費用は50~100万円程度は見ておいたほうがよいですし、見返りとなる慰謝料がどれくらい勝ち取れるか、あるいはそのためにかかる時間はどれくらいかかるかなど、総合的に判断してあまりにも犠牲が大きすぎると感じたからです。お金のこともありますが、嫌な相手のことを考え続ける日常を想像するだけで嫌になってしまったのです。
退職した後でも時効を迎えていなければ訴訟はできますが、自分の時間という大切な資源を恨みを晴らすために使うのは時間がもったいないと思いました。もし、相談できる相手もおらず、一人で抱え込み、悩み続けていたらきっと鬱になっていたことでしょう。そうすれば、心の傷として深く残り職場復帰や社会復帰にも時間がかかったはずです。私を救ってくれたのは家族の存在でした。また、闇から抜け出すには新たな希望が必要でした。同僚が気晴らしに講演会に連れて行ってくれたことにも感謝しています。
そんな状況の私がした事といえば、改めて自分の価値を考えることにしたのです。パワハラの経験は本当に壮絶な過去でしたが、これからの仕事や人生を改めて見つめる機会になったことが収穫になりました。
もちろん、それでは気が済まないという方もいるでしょう。あくまで私の場合は、これからの人生を考え、自分を必要としてくれる職場を探すほうが楽しいなと思えたのです。今回のパワハラは確かに嫌な経験でしたが、自分の価値を再発見する良いチャンスだったんだと今は思うようにしています。
あのときの経験があるから今がある。会社を辞めたことを逃げたとは思っていませんし、恥ずかしいと思ったこともありません。今となっては笑って話せるほどの思い出のひとつになったに過ぎません。
まとめ
・パワハラによる訴訟は、不法行為で3年、会社の安全配慮義務違反で10年の時効がある。
・パワハラ行為を証明するのは原告、証拠となる記録を積み上げよう。
・退職しても時効を迎えていなければ訴訟できる。
ところで、もしあなたがまだ会社に在職中で辞めようかまだ迷っているなら、こう言います。
その上司と5年先に一緒に仕事をしているイメージがわかないなら辞めた方がいい。
パワハラ上司があなたの事をただの労働力として利用しようとしている。あなたの成長を望んでいるわけではないと感じる。もしそうなら、一刻も早くそこから逃げて下さい。
会社に仕えて、家族や自分の時間を犠牲にして得られるものは何でしょうか。あなたを必要としてくれる職場はいくらでもあります。
今の時代は人手不足ですし、年齢要件も昔よりはハードルが下がっています。体を壊し、うつになっても会社が面倒を見てくれるわけではありません。
ボロボロに使い倒されて捨てられてもいいんですか。
こちらが見切りをつけるんです。
真面目な気質の人ほどパワハラを受けても自分が悪いと決めつけ、自分を責め続け、我慢して耐える傾向が多いようです。
その結果、何が起きていると思いますか?
今、精神疾患を訴える人が増えています。
厚生労働省の患者調査の概況によればうつ病などの気分障害患者数に絞ると1999年に44.1万人となっていた状況が2002年には71.1万人、2005年には92.4万人、2008年には104.1万人と、2014年には111.6万人と著しく増加している傾向が読み取れます。
パワハラによるストレスで精神疾患になる恐れがあり社会復帰にも大きく影響しているのです。
うつ病は、「心の風邪」とも言われます。誰もがなり得る病気だからです。ただの風邪だと思ってしっかり治さないと気管支炎や肺炎となってしまうのと同様に、うつ病もしっかり対処しないと再発を繰り返してしまいます。
最悪は自殺に至る可能性もある怖い病気であることです。精神疾患と言ってもストレスからくる体の反応や適応障害、パニック障害、うつ病など様々なタイプと症状・特徴があります。
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