- 投稿日
- 2019年2月21日
- 更新日
インフルエンザにかかった部下に出社を強要するのはパワハラ?
あれ、なんかちょっと違和感がある。ちょっと背中も痛むなぁ。そういえば、さっきコーヒーを飲んだときあまりおいしく感じなかったな。
ひょっとしたら、部長の風邪うつったかも。部長、咳き込んでるのにマスクしてくれないんだもん。非常識だよ。でも「部長!マスクしてくださいよ。」なんて言えないし、わざわざ総務や人事に言うことでもないし。
もしインフルエンザだったらどうしよう?会社休ませてもらえるのか?うちの子まだ小さいからうつると困るな。とりあえず今日、病院行ってみるか。
うそ、インフルエンザA型?
やば、明日から会社どうしよう?とりあえず家に電話して子供たちを隔離しなきゃ、ご飯の支度、お風呂掃除、どうしよう~
明日の朝一で上司に連絡するか、でもなんて言われるかわからないな。あー、頭痛くなってきた。
社員に出社を強要することはパワハラになる。
インフルエンザなど感染症で体調を崩している部下を無理やり出勤させ仕事に従事させることはパワハラになります。
厚生労働省ではパワハラを以下のように定義しています。パワハラとは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」を指します。
上司が命令でインフルエンザにかかった部下を無理やり出社させることは、まさに「職場内の優位性」を背景に「業務の適正な範囲を超えて」精神的にも身体的にも苦痛を与える行為です。
また、インフルエンザに他の同僚がかかってしまえば業務停止状態に追い込まれてしまいます。そうなれば仕事どころではありません。職場環境を悪化させる行為とも言えるでしょう。
職場全体をマネジメントする立場の上司であれば、どうすれば今いる人材で目標を達成できるかを考えるはずです。今いる人材でできないのであればどうすれば別の方法で問題を解消できるかなどを考えるなど、チームで問題解決に当たります。
それができないということは、自らの管理能力のなさをさらけ出してしまっています。パワハラ6類型のうち、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制や仕事を妨害する行為である「過大な要求」に該当するのではないでしょうか。
インフルエンザ対策の会社の対応力が問われている
ただ、上司としては繁忙期にもかかわらず休んでもらっては仕事がはかどらず、困ってイライラしていたのかもしれません。この上司にとってはインフルエンザくらいで会社を休むなんて意味が分からないと思っているのかもしれません。
上司はマスクすらしていませんからね。咳をしなければうつらないと思っているかもしれません。残念ながら、この上司に直接休ませてほしいと言っても聞き入れてもらえる余地はないようです。
では、会社の総務に訴えたほうがいいのでしょうか。これもなかなか言い出しづらいところです。会社としては、こういった訴えがある前にインフルエンザ対策をしておき、周知徹底させることで部下は休みやすい環境に、上司に対してはサポートするという姿勢を見せることが大事です。
なぜなら、場合によっては安全配慮義務違反で社員から損害賠償請求される恐れもあるからです。社員にブラック企業と言われないよう、具体的にどのような対策が考えられるでしょうか。
上司に這ってでも来いと言わせない為に会社にできる対策は?
それでは、インフルエンザ対策に会社はどう対応するのがいいでしょうか?考えてみましょう。
社員を休ませる。
まずは、感染が拡大しないように社員を休ませる必要があります。被害が拡大すればダメージが大きいのはむしろの会社の方です。しばらく出勤してはいけないですという出勤停止命令を出すことになります。
いつまで出勤停止にするのか決める。
労働基準法や労働安全衛生法には具体的な日数は規定されておりません。規定されているのは学校保健安全法です。出席停止期間を次のように定めています。
但し、この規定がそのまま会社員の方にも適用されることはありません。あくまでも対象は大学までの学校になります。この規定を参考に3~7日程度をお休みとしている所が多いようです。
実は私もインフルエンザになり、医者で診てもらった際に頂いた資料がこちらです。
給与の扱いを明確にしておく
出勤ができない間のお給料はどうなるのでしょうか。これは会社都合の休業ではなく、欠勤扱いにしたり、有給休暇を消化することで対応するケースが多いようです。
診断書は必要か?
医師の負担を考えると診断書を発行する手間は大変だとは思いますが、会社としてもいつまで休めばいいのか、いつから復帰できるのかを客観的な資料で把握しておきたいところです。
就業規則に定めておく。
いざという時のためにこういった規定を定めたらしっかり就業規則に盛り込み、職場内に周知徹底させるようにしましょう。「就業規則に書いてあるんで」という一言を社員がさりげなく言える環境づくりができれば社員にとってもありがたいです。
休みを取らせてほしいとは、なかなか社員からは言いにくいことですね。
では、インフルエンザにかかった社員はどうすればいいでしょうか。
インフルエンザにかかったら他人にうつさないための努力をしよう
インフルエンザにかかったあなたができる事は、しっかり休み感染を拡大させないこと。マスクをし、こまめに手洗い・うがいをする、ドアノブやリモコンなどをアルコールでふき取る、栄養を取る、人込みを避け、家で休養し体力をつける事です。どれも基本的なことです。
仕事や上司の事が気になるかもしれませんが、なってしまったものは仕方ありません。ただ、この当たり前のことができないつらさがあるのが日本人なのかもしれません。薬を飲んだから大丈夫、熱が下がったから大丈夫、ちょっと咳は出ているけど人にうつさなければ大丈夫と、とかく仕事を優先させてしまいがちです。
日頃からの健康管理も重要です。健康とは病気になっていない状態ではありません。食事と運動、睡眠を充実させ、心の安定のためには瞑想なども取り入れるといいかもしれません。
あっ、ここにマスクをしていない上司がいることを忘れていました。
そもそも何で上司はマスクをしてくれないのでしょうか。知りたくありませんか?
パワハラ上司のマスクしない問題は解決できるのか?
インフルエンザかもしれないのに俺はただの風邪だと言い張り、出社してくる上司もいるでしょう。会社が強制的に休業させると休業補償をする必要が出てきますので、病院に行っていないのであれば病院に行かせます。又は産業医に診てもらうなどして診断書を取ったうえで判断しましょう。
ただ、現実的にここまでちゃんとしてくれる会社がどれだけあるでしょうか。大企業の一部かもしれません。働き方改革の意識の高いベンチャー企業の方が進んでいるかもしれません。
なぜ、上司は無理やり出勤し、マスクをしないのでしょうか。上司がマスクをしない理由について仮説を立ててみました。
仮説1 マスクをしなくても人にはうつらないと思っている。
ちょっと咳をしたくらいでは平気、手で押さえれば問題ないと思っているかもしれません。接触感染や飛沫感染が感染経路なのですからウィルスをまき散らしていることになります。インフルエンザと風邪との違いや重症化しやすいという認識が薄いと言えます。
仮説2 マスクなんてしていたら仕事にならないと思っている。
確かにマスクをしていたら息苦しいですし、話しづらいですから電話もしづらいでしょう。仕事が大事であることは間違いありませんが、仕事は一人でできるものではありません。自分がいないと仕事が成立しないと過度に思いこんでいるのかもしれません。どうしても仕事をしたいなら隔離された場所でやるしかありません。
仮説3 病気は気合で治すものと思っている。
マスクなんてしてたら、いかにも自分は病気ですって言っているようなもの。そんな姿を自分で認識したくない。病は気からとはよく言ったもので、元気があれば何でもできるんだと思っているかもしれません。元気があってもインフルエンザウィルスはなくなりません。確かに薬は症状を抑えているにすぎず、本人の免疫力で治るのかもしれません。ただ、マスクをしない理由にはなりません。
どうやら、口で言っても無駄なようです。同僚にはあきらめの目で言いました。
みどり:部長ってなんでマスクしてくれないんだろ。ホントと非常識じゃない?
同僚1:そうね、ただマスクはしなくていいけど、せめてくしゃみする時くらいは口抑えてよね。ウィルスが飛び散るじゃないの。
同僚2:そもそも部長はなんでハンカチすら持ってないの?手で口押さえるなんてほんと最低。その手をちゃんと洗ってきてほしい。
あれ...
マスクはそんなに?
みんな、上司のマスクしない問題に怒りつつ、ちょっと私の怒りとは方向性が違うようでした。
同僚1は、「くしゃみする時くらいは口で押えるものでしょ」ってところが許せないみたい。
同僚2は、「ハンカチを持っていない」ってところが許せないみたい。
そして私は、「マスクをしていない」ってことが許せない。
あれ、何かみんなちょっと違うのね。
いわゆる自分の許せる範囲と許せない範囲って人によって違うってことですね。そりゃ、生まれてきた環境も違えば、食べてきたものも出会ってきた人の数も違います。みんなが同じ価値観だって思う事の方が不自然です。
価値観がずれている部分が自分の許容範囲を超えると「許せない」に変わるわけですね。
こう考えると、どうすれば上司のマスクしない問題に対処すればいいのでしょう。解決策は見いだせるのでしょうか。上司は、仕事をしているときはマスクをするべきではないと考えているかもしれません。
もしそうだとしたら、どこかで本人も悪いのかなとは思いつつ、自分の価値観とずれていることもあってマスクなしでもいいよね。みたいな思考になっているのかもしれません。
であれば、それは違うんですよって教えてあげる必要があるわけです。どうやって教えるか。それが問題です。そこで対策を考えてみました。
対策1:すっと、マスクを渡してみる。
ひょっとしたら、マスクを買おうと思っていたけど忘れてしまったという可能性はないでしょうか。咳をしてちょっと悪いなとは思いつつも、今さらマスクつけるのもなんか気まずいし、きっかけを失っているだけかもしれません。
対策2「部長、マスクくらいしてよね~」と言える間柄になっておく。
これはなかなかハードル高いですね。これができたら苦労しません。パワハラ上司のためにここまで苦労するつもりはないのかもしれません。ただ、人間関係を築いていくには時間もかかります。日頃からコミュニケーションを取り、まずは上司の癖を意識しておくことでないでしょうか。
対策3:上司に意見できる人にさりげなく伝える。
やはり、上司以外の部長クラスと関係づくりをしておくことが必要かもしれません。いざという時のために逃げ場を作っておくことも大事でしょう。ただ、「おい、〇〇が、お前マスクもしてないって不満たらしてたぞ!」なんて言われた日には一巻の終わりです。
気配りのできる方を選びましょう。
上司の価値観を知り、あなたの許せる価値感の輪を広げていく(心を広くする)ことで解決策が見いだせるかもしれません。もし共感できる部分がありましたら、ぜひ試してみて下さい。
まとめ
・インフルエンザにかかった部下を無理やり出勤させるのはパワハラになる。
・会社はインフルエンザ対策を盛り込んだ就業規則を整備し、周知徹底しよう。
・個人でできる事は、しっかり治して感染を拡大させないこと。
・価値観の違いを意識して効果的な解決策を検討しよう。
通常のインフルエンザとは違い、新型インフルエンザが蔓延したら手遅れになる可能性もあります。インフルエンザが大流行している年だからこそ、ある意味、今のうちに会社に対応力を見極めておく必要があるかもしれません。ブラック企業はインフルエンザが蔓延するというのもあながちウソではありませんね。
もし、会社に対応する気がない、ブラック企業だなと感じたら早めに見切りをつけた方がいいかもしれません。転職は慎重かつしっかり情報収集することが大事です。転職にはある程度時間がかかりますので、辞める前にはしっかりと段取りを組んでおきましょう。
会社を辞めるのは難しくはありませんが、社会人としてのマナーがあります。詳しくはこちらの記事【パワハラ上司が怖くて言えない】退職届は電話やメール、郵送でも可?をご覧ください。
私は予防接種をしていたのですが、体調がすぐれず医者にかかったらインフルエンザA型にかかってしまいました。でも37度台の微熱があるくらいです。いわゆる隠れインフルエンザというやつでした。
インフルエンザの抗体ができているかもしれませんが、それが大流行を引き起こしているとも言われています。医者に言われたのですが、こんなにすぐ薬を飲むのは日本人くらいだそうです。薬漬けになった日本人の将来を医者が憂いていたのが何とも複雑な気持ちになりました。