- 投稿日
- 2018年11月6日
- 更新日
パワハラが起こりやすい会社の特徴と取り組み
まさか自分がバワハラを受けるなんて思いもしませんでした。パワハラなんてたまに見るニュースでの出来事、自分には関係ないこと。パワハラされる方も何かしら原因があるんでしょって、他人事に思っていました。ですから、自分が受けているのはパワハラなんだって認識するまで結構時間がかかったと思います。
パワハラは決して対岸の火事ではありません。パワハラが起こりやすい会社やその取り組みを知ることで今日からできるパワハラ対策を実行しましょう。明日は我が身かもしれません。
独立行政法人労働政策研究・研修機構による職場のいじめ・痛がらせ、パワーハラスメント対策に関する労使ヒアリング調査では、ハラスメントが発生する背景・原因として「人員削減・人材不足による過重労働とストレス」、「職場のコミュニケーション不足」、「会社からの業績向上圧力、成果主義」、「管理職の多忙・余裕のなさ」、「就労形態の多様化」などが存在しているという調査結果が明らかになりました。
人員削減・人材不足による過重労働とストレス
私が以前在籍していた会社も、自分の仕事をこなすので精いっぱいの人手が足りない職場でした。過度なリストラによる人員削減や人手不足でもノルマはそのまま、昔は重複している業務があればフォローし合うこともできましたが、それも今では余裕がないため、自分の仕事でいっぱいいっぱい、有給すら取れない状況でストレスは溜まる一方。疲れは次第にピークに達します。みんなギリギリでやっていて、みんながイライラしています。そんな職場ではいつパワハラが起きても不思議ではありません。カタカタとPC操作の無機質な音しかありませんでした。
人材は会社の資本ですから、ここを改善するのはトップの判断が鍵になります。予算が少ない中で簡単には人を増やせないのであれば、業務の仕組みややり方を見直す取り組みが必要なはずですが、上司は昔のやり方を押し付けるのみです。人材を使い捨てでいいと考えている会社に未来はありませんから、遠からず影響が出てきます。
職場のコミュニケーション不足
大変な職場でもチームとして問題解決にあたれば、逆に連帯感が生まれ仕事を成し遂げる喜びも分かち合えます。問題を複雑にしてしまったり、問題が生じる場合に常にあるのはコミュニケーション不足です。
社会人として求められる能力としてスキルや経験があってもコミュニケーション能力が低けれ大きな成果を出すことは難しくなります。それほど仕事を行う上で重要な能力と言えます。これは考え方を変えることですぐにでも実行できます。同じ環境で働いている仲間に関心を持つ、まずはここからです。
同僚や上司の下の名前って言えますか?人は認められたい、重要な存在でありたいと思う生き物ですから、まずお互いがお互いを尊重し合う、報・連・相といった当たり前のことを当たり前にやる。上司は皆が働きやすい環境づくりに気を配るなど、双方がすぐにできることです。
当たり前のことを当たり前にやるというのは、一見簡単なようでいて難しい面があります。できている人にとっては常識なのですが、できない人にとっては頭では分かっていてもできない場合があるからです。ここは習慣化させるよう本人の努力も必要ですし、上司も長時間説教しても部下は治りませんので工夫が必要です。
会社からの業績向上圧力、成果主義
営業であれば、ノルマが課せられているのは仕方ありません。成果を出した分だけ報酬にも反映されるのであれば、モチベーションのアップにもつながり、会社の業績も伸びてくるはずです。ただし、問題は過大な目標設定の仕方であったり、成果第一主義とされている評価方法です。成果を出すことが第一目標になってしまうと、先輩が後輩にノウハウを出し惜しみしたり、足の引っ張り合いをしたりなど人間関係がギスギスするのも当然です。
結果の出せない社員を、なぜ業績が伸びないのかと叱責しても売り上げが伸びるわけではありません。成果の出せてこなかった社員がいくら考えても答えは出ない訳です。上司は仕事ができるでしょうから、「自身の経験則を踏まえて親切に」教えてくれているかもしれませんが、部下の性格は十人十色です。1を教えて10できる人間もいれば、5まで教えないとできない人間もいます。得意分野も異なります。成長のスピードも違います。
自ら気づき、何のためにそれが必要かを「腑に落ちて」理解してからでないと行動できない人、自分の教えを信じてついてきてくれる人など様々です。成功している人に乗っかるのが成功の近道なのですが、それが上手く行動に移せない人もいます。頭ごなしに一方的に自分の成功体験を話しても、やる気マインドの準備ができていない人に何を言ってもダメですし、聞く耳を持たない部下にはなかなか寄り添えません。
人を育てるというのは会社の永遠のテーマかもしれませんが、まずは部下の分かる言葉、価値観を理解し、いかに効率よく部下を指導し成果を出させるか、上司の手腕も問われます。上司自身も会社からの評価に晒されているのですね。
管理職の多忙・余裕のなさ
結果の出せない部下を持ちながら、育てつつ自分自身も評価の対象とされているのであれば、管理職のストレスも相当なモノでしょう。成果を上げてきた所謂できる上司が有能な教育者とは限りません。人をマネジメントするというのは、非常に高度なスキルや経験、コミュニケーション能力が必要なうえに、自分自身にもノルマが課せられていれば、それこそ余裕などないかもしれません。さらにプライベートで離婚問題を抱えていてイライラしていたらどうでしょう。
上司だって好き好んで嫌味や嫌がらせをしているわけではないかもしれません。(もちろん、好き好んでパワハラしている人は会社に訴えるべきです。)もっと別の方法もあったかも知れないけど、余裕がないためを我慢強く育てることをしたくないのでしょう。
権力のある立場であるがゆえに、その力の使い方を誤るとパワハラに発展します。パワハラを防止するには上司や管理職、トップの意識が間違いなく必要です。
就労形態の多様化
今や正規社員・非正規社員という呼び方がすっかり定着してきました。自ら望んで非正規社員になる方もいれば、正規社員になれず非正規社員になっている方も大勢います。やっていることは同じなのに待遇が違う、私の方が経験者で知識も豊富なのに待遇が違いすぎるなど、就労形態が多様化している現代では、明確な役割と責任の線引きや社員間の理解も求められています。ここもトップや人事部など管理職がフォローしなければならない点です。
就業規則やキャリアアップの報酬体系、労働時間の管理など社員が快適に働く環境づくりをすることで、社内の差別感情や不満が解消されパワハラのない職場作りになります。
会社の職場のいじめ、パワハラへの取り組み
②アンケート調査による実態把握
③啓発・研修・教育の実施
④コミュニケーション促進策や職場の風通しの改善
⑤ハラスメント問題に関する労使の情報共有・協議、ハラスメントに関する労使協定の締結独立行政法人労働政策研究・研修機構「職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメント対策に関する労使ヒアリング調査」結果より
相談窓口の設置
まずは、気軽に悩みを相談できる環境が必要になります。中小零細企業ほど取り組みが進んでいないという調査結果もありますので、まず悩みを話せる環境作りをトップや管理職主導で行う必要があります。相談窓口はあるけど、情報が筒抜けであったり、パワハラ上司と相談窓口の担当者が密に交流しているとなると相談窓口も形骸化してしまうとことになりかねません。安全衛生委員会の立ち上げや産業医への相談も可能な体制作りを構築するのも一つの方法です。
アンケート調査による実態把握
相談窓口を利用すること自体がはばかられたり、なかなか本音を話せないという社員もいるので、アンケートという形で意見を募るのも一つです。ですが、パワハラの事実は双方の主張や職場環境なども考慮しなくてはいけませんので、匿名ですと検証ができない場合が考えられます。事実認定から処分の決定工程や仕組みづくりに際しアンケートを参考にするのもよいでしょう。
啓発・研修・教育の実施
パワハラは個人間の問題のように見えますが、その背景には会社の制度であったり、働く環境も大きく作用します。また、権力を持つ上司の意識レベルによってはパワハラが横行しかねません。トップから明確なメッセージを発信すると同時に定期的な研修や教育の場があれば、パワハラ被害者・パワハラ加害者をださないという意識が共有されることになります。
コミュニケーション促進策や職場の風通しの改善
外部との接触が少なかったり、社内でほとんど交流がないといった閉鎖的な職場では、その職場独自のルール、暗黙の了解があり、職場の常識が出来上がってしまいます。まずは相手を理解することが第一歩ですが飲みに行くことだけがコミュニケーションではありません。相手をよく観察し、質問する力を磨いてお互いの良さを引き出し合いましょう。
ハラスメント問題に関する労使の情報共有・協議、ハラスメントに関する労使協定の締結
労働組合は、社員一人だけでは対処できない労働問題に組織だからこそ対抗できる力をもっています。形骸化している労働組合は意味がありませんので積極的に情報発信をしたり交流する機会があると社員にとっても有効活用できる組織となるのではないでしょうか。外部の労働組合に駆け込まれるということは、内部労働組合に存在意義はないということです。社員は労働組合の組織力に期待しています。
まとめ
・パワハラが発生する背景・原因として、「人員削減・人材不足による過重労働とストレス」、「職場のコミュニケーション不足」、「会社からの業績向上圧力、成果主義」、「管理職の多忙・余裕のなさ」、「就労形態の多様化」などが存在しているという調査結果をその取り組みについて紹介しました。
・職場の悩みを気軽に相談できる場所がある事を社員が知っているという環境づくりをトップや管理職が主導になって取り組みましょう。